2023.07.22
祝:直木賞受賞 垣根涼介氏
今週、嬉しいニュースが飛び込んで来ました。
昔から好きな作家さんの一人、垣根涼介さん。
代表作のワイルドソウルが有名です。やっとというか、ついに直木賞を受賞されました!
相当な車(バイク)好きで、作家生活前半作品の中ではかなりマニアックな運転技術や改造知識を書き込んでいるのも、好きになった要因です。
作家生活後半は執筆ジャンルを歴史小説にシフトされ以前と変わらずヒット作を続けていますね。
歴史小説だけど小難しくなく読みやすいのも人気の一つだと思います。
数ある作品の中でも好きなのが
君たちに明日はない
(全5冊)シリーズです。
企業から依頼を受け、対象社員に対してリストラ勧告業務を代理で請け負う(そんな会社は実在せず、架空です)社員の短編物語です。
日本では指名解雇は出来ないので、あの手この手で退社してもらえるように話をするのですが、これだけ聞くとマイナスオーラ全開の暗い小説かと思われますが、そうではありません。
辞める人残る人、それぞれに未来への希望が生まれたり前向きになっていける物語です。
僕が一番好きなのが、シリーズ二冊目の『借金取りの王子』の中の表題作。
何故、営業成績も良く部下から慕われている店長がリストラ対象者となってしまっているのか?
主人公の真介が面接時にその理由を突き付けます。
真介が突き付けるこの考えはとても重要で、リストラというものが優秀ではない社員だけに向けられるものではないということを表しており、かつての自分自身もそうだったのです。
作者は何故これほどまでに、いちサラリーマンの心情を巧みに描くことが出来るのか?
全シリーズ通して登場する人物像と社会の未来予想が相当リアルで、作品が発表され始めた2005年~より、現代に読むと更にリアリティーが倍増されます。
最終話では主要登場人物たちも新たな人生が始まり、タイトルから想像される暗さは無く、全体を通して希望の持てる内容になっています。