この4月から成人年齢が18才へと引き下げられたことで、様々な契約に関する注意事項のニュースを見聞きしました。
そこでふと思い出し、本棚から引っ張り出して読み返したのが
宮部みゆき
火車

借金まみれになった女性が別の女性を(おそらく)殺して入れ替わり、普通に生活していたところ身分がバレそうになり逃亡し、刑事の主人公が行方を追いかけるという内容です。
(おそらく)というのは、殺人の描写もありませんし、582ページもある作品なのに本人登場は最後の10ページぐらいから。
主人公の目の前に登場して会話を交わすことなく終了するので、全ては過去の状況から推察(たぶん間違いはないが)されるものだけです。
結論がハッキリしない衝撃のラストですが、何故かモヤモヤ感はありません。
借金まみれ…まさにタイトルの通り火の車です。
そうなったのはクレジットカードのキャッシングを利用したためです。
昔からサラ金に手を付けては絶対駄目だというのは周知されていましたが、当時急速に拡大していたクレジットカードですがそれに付帯するキャッシング機能は大手金融機関発行ということもあって、なんとなくクリーンなイメージがありその危険性はあまり語られていませんでした。
今だと危険なのはリボ払いでしょうか?カード会社が盛んにお勧めしてきます。
これは利用するとド壺にハマります。
作品が発表されたのが平成4年(1992年)、スマホや電子マネーは当然普及していなかった頃です。今はこれらのツールを利用したグレーゾーンギリギリのサービスが登場しつつあります。
解約しにくいサブスクなんかもそうです。
知識が無いと危険なものとそうでないものとの区別がつかないですし、その想像も働きにくいと思います。
登場人物の女性も小さなところから転がり落ちていきます。
自分に知識が無い場合、人とお喋りをする事でその危険性を指摘してもらえる場合もあります。自分の身に起きている日々の小さく他愛もない出来事を人と話し合う事も、自分の身を守るという意味で重要なのかもしれません。